暗号資産の中でも昨今、大暴落で話題になっているTerra(テラ)にてトークン発行されたLUNAについて、知ってる人は知ってるし、知らない人は全く知らないという産物だと思います。
LUNAは様々な特長を持った期待が大きかった暗号資産の1つでもあったので、なぜ、過去類を見ない値崩れが起こったのか、仕組み等を振り返りたいと思います。
それにより、今後の暗号資産への投資における教訓として活かせればと思います。
本記事ではLUNAの誕生経緯や今までの評判/評価、LUNAを語る上で欠かせない事柄等、知っておくべき最低限の知識に着目して記述します。
テラ(LUNA)の歴史
テラ(LUNA)はアップルエンジニア出身のクォン・ドヒョン代表とTMON(ティーモン)を創業したシン・ヒョンソン代表が共同設立した「テラフォームラボ(Teraform Labs)」が発行したコインとなります。
本社はシンガポールにありますが、韓国人が作ったことから「キムチコイン」というニックネームもあります。
このテラ(LUNA)は決済方法の1つとして普及させるという目的があり、主にEコマース上での利用を推進しています。
テラには複数のトークンが存在し、1つ目は「UST(Terra USD)」「EUT(Terra EU)」といった価格が法定通貨と連動しているステーブルコイン、2つ目が二次トークンである「LUNA」です。
テラ(LUNA)はブロックチェーン上で法定通貨と価格が連動するステーブルコインを発行し、グローバルな決済システムを提供する決済プラットフォームと位置付けら、ガバナンストークンを活用して市場における供給量を調整することで安定性の高いステーブルコインを発行することを目指しています。
又、ステーキング報酬があり、プラットフォームに預けることで恩恵が受けられます。
2022年5月現在は、担保不足による懸念や不安から大暴落をしており、注目を集めています。
期待されていた暗号資産ではありましたが、米ドルとのペッグ(法定通貨と同等の価値を維持するトークン)が外れたことで価値がほぼない状態になっているのが現状です。
テラ(LUNA)は、ステーブルコインの1種として位置づけられていたので安心感も強かったが、そこが崩れてしまったのが大暴落の発端であり、暗号資産の脆さを感じたなあ。
テラ(LUNA)の基礎技術/特長
テラ(LUNA)の技術的な特長は以下の3点になります。
- 米ドル等に連動するステーブルコインを発行
- ステーブルコインでありながら、分散型台帳技術を利用
- ステーキング等を利用出来るDeFiプロトコルが開発されている
では、詳細をみてみましょう。
米ドル等に連動するステーブルコインを発行
テラ(LUNA)は、米ドルや韓国ウォンなど各国の法定通貨に連動するステーブルコインを発行することを目的とした暗号資産です。
ステーブルコインそのものは法定通貨と連動している事に起因して、ボラティリティ(価格変動の度合い)が小さく、他暗号資産と比較するとはるかに価格が安定していると言われています。
又、法定通貨の代わりとして利用でき、例えば、米ドルに連動しているステーブルコインを入手すると米ドルを手に入れたのと同じ効果があります。
紙幣の価値が不安定な国の人々が米ドルを手に入れるかわりに米ドルと連動したステーブルコインを入手することで、自己資金の逃避先としても利用できます。
法定通貨と連動する事でボラティリティを最小化できる暗号資産がステーブルコインという事でその機能を兼ね備えたテラ(LUNA)だから、将来有望と言われていたんだね。
ステーブルコインでありながら、分散型台帳技術を利用
ステーブルコインは、テラ(LUNA)だけでなく、様々な企業で発行されています。
市場に多く流通しているUSDTやUSDC、BUSDといった銘柄は一つの企業が発行する中央集権としての側面があります。
しかし、 テラ(LUNA)が発行するUSTは分散型のステーブルコインであるため、突然の通貨発行停止といった中央集権的なデメリットを回避できるという特長があります。
分散型とは、分散型台帳技術を指し、ビットコインと似たような仕組みを取り入れています。
いわゆるブロックチェーンの技術を使っているということね。
ステーキング等を利用出来るDeFiプロトコルが開発されている
テラ(LUNA)の保有者はテラ(LUNA)をプラットフォームに預けることで報酬を得ることが出来ます。
これはステーキングと呼ばれ、預けられたテラ(LUNA)はアルゴリズムがステーブルコインの価格を安定させるために使用されます。
上記の一連の動作を実現するステーキング(預け入れ)出来るDeFiプロトコルが開発されています。
テラ(LUNA)ではAnchor Protocolというステーキングサービスを利用することができ、2022年前半までは20%近いAPYを提供していました。
値動きが少ないステーブルコインを預け入れるだけで20%近い金利収入を得られることから多くの投資家に大きな注目を浴びたプロトコルとなっていました。
また、テラ(LUNA)の保有者はテラ(LUNA)の決済時のトランザクション手数料を得ることも可能となっていました。
2022年5月の暴落を受けて、今後の流動性が保てないことへの懸念からステーキング報酬は見込めなくなっているので注意です。
ステーキング利用者にとってロイヤルティの高い暗号資産だった事で人気があったのね。
テラ(LUNA)の時価総額と価格推移
テラ(LUNA)は2022年5月時点で時価総額は約2,200億円となっています。
ビットコインが約80兆円ですので、だいたい0.2%の規模感となっています。
2022年前半では、暗号資産全体で時価総額10位圏に入り、4月には118ドルまで上がって時価総額が400億ドル(約5兆1388億円)に達していました。
ところが、5月に入り、99.99%の大暴落が発生し、ステーブルコインの特長の1つであるボラティリティ(価格変動)の低さは全く感じない程、ボラティリティが高い状況となりました。
過去のテラ(LUNA)の価値に関するチャートは以下の通りとなります。
引用元:coinmarketcap
2022年5月に入って真っ逆さま。。。こわー。
テラ(LUNA)が大暴落したのはなぜか?
テラ(LUNA)は、法定通貨との連動をしており、下落し難い特長を持っていたのになぜ?大暴落が発生したのでしょうか?
段階的に以下に記述します。
テラ(LUNA)はステーブルコインとしてドルとの等価価値があった
通常、テザーUSD(USDT)やUSD(USDC)などのステーブルコインは、裏側に同額の法定通貨を保有することで価値を保証しています。
発行元には必要なドルが保管されていて、1USDCを発行元に持っていけば、1ドルで買ってくれる。これが、ステーブルコインの価値をドルに連動させる仕組みです。
一方でUSTでは法定通貨を保有するのではなく、暗号資産のテラ(LUNA)を準備金として用意したところに工夫がありました。(この仕組みが最大の特長であり、今回の大暴落を引き起こす要因にもなりました)
つまりUSTを持っていけば、時価で1ドル相当のテラ(LUNA)が貰えます。
もしUSTが0.9ドルで売られていたら、それを買ってテラ(LUNA)に替えれば、1ドル分のテラ(LUNA)が手に入る。これはノーリスクで0.1ドルを手に入れられるということだから、USTが1ドルを下回っていたら、たちまち買い手がついて1ドルまで上昇するはずでこの仕掛けによって、平常時はUSTが1ドルを維持していました。
大暴落直前のUSTの発行量は185億ドル(約2兆4000億円)分で、テラ(LUNA)の時価総額は300億ドル(3兆6000億円)前後で推移しておりました。
仮にUSTがすべてテラ(LUNA)に替えられてもテラ(LUNA)には余裕がある状況でした。
ここまでは大前提の話で良い感じですね💖
ステーブルコインとしてのテラ(LUNA)と対(ペッグ)になるUSTが急落
今回のテラ(LUNA)の暴落は、ステーブルコインであるテラUSD(UST)で起きた異変がきっかけであり、USTでは米ドルの価値と連動するよう作られていましたが、5月10日に入って急落。
一時は1USTが0.3ドルまで下落し、連動が完全にはずれてしまう格好となりました。
そうなると、手に入れたテラ(LUNA)をすぐに売却する動きがたちまちに広がり、USTには買い圧力がかかり価格が上昇する一方、テラ(LUNA)は都度売却されることになり売り圧力が掛かりました。
テラ(LUNA)は5月5日あたりから価格が下落傾向になり、時価総額は196億ドル(約2兆5400億円)とUSTの発行量に近づいていました。
そこに5月10日、USTの価格下落を発端としたLUNAの売りが殺到し、売り圧力がさらに増していき、結果、テラ(LUNA)の時価総額は急激に減少しました。10日の終わりには約100億ドル(約1兆3000億円)まで減少しました。
テラ(LUNA)の時価総額が減少するとUSTの総発行量よりもテラ(LUNA)の時価総額の方が低くなり、USTを持っている人はさっさと手放したくなるという負のスパイラルも同時に発生。(これがいわゆるいわばデジタル版取り付け騒ぎ)
USTの急落が引き金になっていますが、USTが下落した理由は特定の大口ウォレットが暴落前にUSTを大量売却したことが確認されており、組織的な攻撃を疑われているようです。また、DeFi関連サービス「Anchor」に預けられていたUSTが大量に引き出されたことも、要因の1つになったようです。
結果的に99.99%の下落が発生
ステーブルコインの一番の安心材業は、いざとなったら発行元が同額の法定通貨に替えてくれるところであり、ステーブルコインの発行額と同額以上の法定通貨が裏側にあれば安心できるという仕組みです。
ところが、USTの場合、裏付けとなっているのが法定通貨ではなくテラ(LUNA)という暗号資産だった為、テラ(LUNA)の価格が下落すると、USTの価値を保証出来なくなってしまうという負のループから抜け出せない構造になっていました。
価値が維持出来ないと思われたUSTは一斉に売られ、185億ドル分のUST保有者は先を争って売却に走り、市場で売却すれば1ドル以下でしか売れないので、1ドル分のテラ(LUNA)に替えて、テラ(LUNA)を売却していきました。
こうなるとUSTもテラ(LUNA)も下落が止まらず、テラ(LUNA)の価格が下落すれば、ますますUSTの裏付け資産としての価値も低下し、「もしかしたらドルとの連動が回復するかも」と考えていた人の期待も大きく裏切ることになりました。
5月12日時点で、テラ(LUNA)の時価総額は6億8300万ドル(887億円)まで減少し、当然ながら、185億ドル分のUSTの裏付けとなるはずもなく、UST価格は乱高下し、5月16日は0.07ドルにまで下がっています。
仕組みに紐づいた大暴落とはいえ、株価操縦みたいに大口の資産家の売却で一騎に不安を誘った上に仕組み上、抜け出せない負のサイクルに入ったという印象💔
暗号資産を今後、見極める際にはきちんとそのコインの技術的な特長や仕組みを理解する事が大切なのかも。
テラ(LUNAの今後の展望)
エコシステム復興プランを公表
テラフォームラボ(Teraform Labs)は、2022年5月14日にTerraエコシステム存続の復興プランを公表しました。
クォン・ドヒョン代表は、存続の危機にあるTerraエコシステムとそのコミュニティは保存する価値があるとしており、新しいトークンの配布案を提案しています。
Terraチェーンの再構築を図るための発信と言われており、既にコミュニティ内では新たなリバイバルプランに対する投票を行っているようです。
あくまでも方針を打ち出したものであり、今後のロードマップは不透明です。
生みの親としてはなんとか再生したいところなんでしょうね。。なお、道は険しい。。
大手暗号資産取引所のHuobi(フォビ)、Binance(バイナンス)で上場廃止
2022年5月に99.99%もの下落をしたTerra(LUNA)ですが、5月11日に大手暗号資産取引所のHuobi(フォビ)、5月12日にBinance(バイナンス)にて上場廃止が行われていました。
また、バイナンスCEOのチャンポン・ジャオ氏は、「テラプロトコルの設計に欠陥があった、一部ユーザーのリスクを回避させるために取引を停止した」とtwitterにて発表していました。
2022年5月13日の23時(日本時間)には、テラブロックチェーンの改善が見られたと発表し、テラ(LUNA)取引や入出金の再開を示すツイートをしています。
しかし、あくまでも既にテラ(LUNA)を保有しているユーザーへの対処としており、新規でテラ(LUNA)を購入するのは避けるように呼び掛けています。
もはや腫れ物のような扱いに。。。苦しいですが、今、買っとくと凄く値上がりがあり得るという事で買ってるという人もちらほらいるようですね💦
テラ(LUNA)の購入は国内取引所から海外取引所へ送金で対応可
購入する方法について、あくまで参考までに以下に載せますがリスクも高いので推奨しないことを予めご理解お願いします。
ちなみに、まずテラ(LUNA)は国内取引所で購入することはできません。
テラ(LUNA)は、国内取引所でビットコインやイーサリアム等を事前に購入の上、海外の暗号資産取引所に送金すれば可能となります。
但し、海外取引所は日本の金融庁の認可を受けていないため利用には十分注意が必要です。
*海外取引所ではテラ(LUNA)をビットコインかイーサリアムなどの暗号資産であれば、基本的に購入できます。
今回の暴落を巡って、今後も多くの取引所が上場廃止に踏み切る可能性があるので取引を検討している方は事前にチェックをしておいた方が良いです。
一部取引所では、上場廃止後に取引再開をしていますが保有しているユーザーに向けた処置であり、新規での購入はしないように警告を出しています。
消滅する可能性も充分に考えられるので取引をする際は十分注意お願いします。
また税制面でもグレイな部分も多いことから初心者には特にお勧めしませんので自己責任でお願いします。
危ない橋を渡ろうとするならば、きちんと色々調べてから各自の判断で押し進める事が大切。あくまでこの章は参考まで。
最後に
ここまで長々記載しましたが、なんとか最後まで読んで頂き有難うございます!
まだ暗号資産を開始していない方は、ぜひ、少額から試しにやってみましょう。
100円から暗号資産の投資が出来ますので無理ない範囲で体感をまずしてみてはいかがでしょうか?
当サイトでは、ビットコインの取引量国内No1で2014年創業の老舗の仮想通貨取引所であるbitFlyerを推奨しています。
過去に流出事件があったコインチェックに関して、今今のサービスは良いと思いつつも、全てITの世界で閉じる「暗号資産」の為、セキュリティは俄然強固で信頼性が高い事は必須と思っています。
そういう意味で個人的に今までの信頼/歴史とともに事故がないbitFlyerがお勧めしてます。
またbitFlyerには「使うほど、ビットコインが貯まる」という特長を持ったbitFlyerカードも存在してます。年間費は無料のカードですので、興味がある方はぜひ、1枚持っておきましょう!
コメント